リフローに必要なものを揃える
リフローには基板を均一に加熱させるための装置が必要となります.安く済ませたければ,3000円程度のホットプレートを用いるのでよいのですが,扱いが大変だと考えたので,オーブンを購入することにしました.
Amazonでコンベクションオーブンを検索します.「コイズミ」というメーカのオーブンが5,425円で販売していたので,こちらを購入しました.前提として,ペーストはんだを融かすためには240℃程度の高温を作り出す必要があるので,温度の上限が調整可能なものを選びました.このオーブンは設定上260℃まで温めることが可能とのことです.
実際に届いたオーブンはこちらです.
DigiKeyでペーストはんだとパーツ一式を発注します.6,000円以上で送料無料とのことだったので,それ以上の額にはしておきます.

このような箱で到着しました.

ペーストはんだを広げるためのヘラとして,Pizza Spatula$^{(1)}$という3Dモデルをダウンロードして印刷しておきました.

3Dプリンタでこれを印刷したのは,使用後に廃棄するためです.先例を見ていくと,使わなくなったカードを利用する場合もあるとのことです.
リフローする(1回目の失敗)
ペーストはんだを載せる
ペーストはんだを塗る前に,ステンシルと基板を固定します.
テープを基板側に貼って,ステンシルに適合するように配置します.

写真では確認が難しいですが,金属の露出部がステンシルの穴に合っていることがわかるかと思います.

はんだを塗り込み,ステンシルを取り去るとこのようになりました.

部品を載せる
ここからが大変です.発注した部品を一つ一つ取り出して載せていきます.
ここで部品に不備が見つかりました.チップコンデンサの1つとタクトスイッチの大きさがフットプリントと合致しないのです.
もう後に引けなくなってしまったので(←この時点で止めていればロストも少なくなるのですが...),近いサイズで続けます.
オーブンではんだづけ
リフローの工程を撮影したので,以下のような動画にしました(約4分).
リフロー後の基板とリフロー前の基板の色を比較するとこのようになっています.

名刺の面のシルクスクリーンも,めくれあがってしまいました.

リフローする(2回目の失敗)
止めておけばいいものの,準備が面倒という理由で2回目に挑戦します.
今度は黒色の基板です.質感や実際の状況に違いがあるかもしれないという思いもありました.
再びの加熱

再び部品載せの行程を行い,オーブンで加熱していきます.
今度は「はんだが融けたことを確信した段階」でオーブンを止めて即座に空気冷却しました.

「リフロー自体」は問題なくできましたが,目視段階でRP2040の接触不良が見られます.写真をよく見てみるとダマになっている箇所があるのが分かると思います.(他にも問題はあります)
手直しして動作チェック
手ではんだごてをRP2040に押し当てて,ダマをなくします.

その状態で,USBコネクタを挿してPCに接続してみます.

しっかり反応しました.が...
なぜかLチカが作動しません.というのも,BOOTスイッチがしっかり通電していないのです.そもそも基板が上手くいっていないことが分かっているのに動作させようという考えが無謀です.以前の基板に立ち返って同じプログラムを書き込んでみます.

問題なく動きました.ということはこちらの基板に問題があるということです.
ということで,今回は失敗の過程をまとめました.次回はパーツを買い足して,同じことをやりなおします.
参考文献
(1) Pizza Spatula by JrBlackRaider | Download free STL model | Printables.com https://www.printables.com/model/369934-pizza-spatula
