EU周遊記 4.5 -閑話 ドイツの雑な談-

2024年12月02日
本記事について
EU周遊記の本文は大方滞在中に書いていますが、EU周遊記 2 以降は帰国後に大幅に加筆修正が加わっています。約4週間前の記憶をたどりながら、ここまでの回で拾えてないドイツの雑談を書いていきます。なお記憶を頼りに書いているものが多いので写真は少なめです。
傘が無い
初の一人長旅。宿に到着して約半日、リュックの横に差してあった折り畳み傘が無くなっていることに気づきます。
ドイツの冬はそんなに天気がよくありません。去年の11月なんかはほとんど曇りか雨だったようで、傘は必須です。
出立前の私を撮った写真によると、どうにも日本の時点ではあったが、ドイツまでのどこかで無くなったようです。盗まれたかな。
ちなみに傘を持たずに外出すると、こんな目に合います。

通り雨です。急に降り始めたので、雨宿りしています。周りにも雨宿りしている人がちらほらいます。さて、話を戻します。
無くなったのはかなりガタが来ていた傘であったので、丁度いい機会です。ドイツの折り畳み傘を買おうではありませんか。
到着した次の日、フロントに「傘はどこの店で買えるか?」と聞きに行くと、本屋の横にある"Müller"ならあるかも。と言われました。
初日の探索でこの本屋のことは知っていたので、向かってみます。
なんでも屋"Müller"

以前の記事で既に紹介していますが、ここが"Müller"との邂逅です。最初の訪問では傘しか探していなかったので、とりあえず傘をピックアップします。
価格4.99€です。思ったより安いです。15とか20とか取られるのを覚悟していたので意外でした。Müllerの字も入っていてドイツ記念としても悪くありません。
今回見つけたのは傘ですが、このMüller、本当になんでもありました。
地下(日本式B1階):ペット用品、食料、洗濯用品
地上階(〃1階):化粧品、美容
1階(〃2階):食器、陶磁器、カバン
2階(〃3階):文房具、リュック、ビデオゲーム
3階(〃4階):カードゲーム、模型、おもちゃ
およそこんな感じですが、よりどりみどりです。私はドイツへ行く日本人へ今後こう言うでしょう。「売ってる場所がわからないならMüllerへ行くべし」と。
宿の洗濯機
私の滞在している宿では洗濯機・乾燥機がそれぞれ1回2€で利用できました。利用するためのトークン(専用コイン的なもの)はフロントに言って購入する事ができました。このトークンが1枚2€なのです。ただ、機械がどこにあるのか一切わからないまま数日が過ぎました。
思い当たった場所は宿の地下階です。
そこだけは一度も行っていません。

暗くて静かな地下階。音は響き、入ってきた扉は爆音を立てて閉まります。下手なホラーよりよっぽど怖いです。ここで誰かに会おうものならビビリ散らかす自信があります。
海外アニメなどで地下の洗濯場所が描かれている場面を見たような記憶があります。(モンスターズユニバーシティにあったかな?)
実物は想像以上に怖かった。でも慣れます。最後は普通に使えるようになりました。
部屋で洗濯を干すな!
洗濯トークンは一つ2€です。毎回これを使うのも嫌だったので、洗濯物は部屋で干していました。
最初は持参したロープを部屋のフックと椅子に橋渡しするように掛け、無理やり部屋にあるハンガーを使って干していました。ある時私は、物干しを部屋に置きっ放しにしたまま、"Do not disturb"の札をかけ忘れて出かけてしまいます。
宿に戻ると私の服は全部机の上に置かれ、このようなメッセージが添えられていました。
"Please do not dry your cloth in the room!"(=部屋干しはお控えください!)
申し訳ないことをしたと思いつつ服を片付けると、部屋においてあったトークンが一つなくなっていたことに気づきました。ペナルティを食らってしまった。
そこから私は物干しロープは使わず、クローゼットで干す方向に切り替えたのでした。(結局部屋干ししている)
鍵が開かねえ!
宿に着いたら最初は部屋の鍵をもらいます。実際に部屋を目の前に、鍵を差し込みぐるぐると回してみます。
想像以上に鍵の回転は硬いし、ノブは回転式じゃない。どうやって開けるのか分からないのです。
5分近く格闘してもう訳が分からないのでフロントに戻って「鍵の開け方が分からない」と白状します。
部屋までついてきてもらい、実際にやってもらってやっと開け方がわかります。
まず鍵を差し込み、時計回りに一周させると「1段目の鍵」が開きます。
そのまま時計回りに回すと、ガタンと音を立ててドアが開くでは有りませんか。
これが「2段目の鍵」です。
私はこの2段目が分からずにずっと苦戦していたのです。分かるか。
数日過ごしているとそのような構造になっている理由に思い当たりました。
まずこの扉、内側にも鍵穴があります。加えて内側のみにドアノブがあります。この時「1段目の鍵」が空いているとドアノブで扉を開くことができます。しかし、閉じているとドアノブでも開けれません。
どういうことか。
この仕組み、強盗対策としてかなり有効なのです。
というのも、鍵が閉まった扉は多くの場合、内側から鍵🔑無しで扉が開く場合が多く、フック付きの棒を扉の下から潜らせて内側のドアノブを回すという突破方法があるのです。
この仕組みではこの方法が通用しません。なるほど!流石海外式。
続・鍵が開かねえ!
数日の飯をREWEで買ってきて宿に戻ると、正面玄関が施錠されています。
持っている鍵は入るのですが、またもや開け方が分かりません。
今度はフロントの人間がいません。時刻は16時過ぎ。フロントの事務員は15:30に仕事を取りやめて居なくなってしまうのです。まずい。入り方が分からない。
横のインターホンらしきものを鳴らすも反応無し。わからない。本当にまずいぞ。書かれている電話番号に電話しよう。
繋がらない。SIMが電話に対応していない。つまり電話は使えない。どうする。
そこに通りかかるは、退勤するフロント事務員。助かった。再び鍵について話を聞くと、部屋の鍵で普通に開く事が判明しました。これがまず分からなかったので無闇に鍵をこじ開けようとする試みができなかったのです。
開くと分かれば後は簡単です。
そう。部屋と同じ仕組みです。
扉がでかいので手がふさがっていると少し難儀しますが、今度こそ宿に入ることができます。外で一晩過ごす羽目になるかと思った。
REWE VS EDEKA
EU周遊記 2にてREWEについて書きましたが、もちろんREWEだけで買い物をしていた訳ではありません。REWEと双璧を成す大型チェーンに、EDEKAというスーパーマーケットがあります。
私の滞在したエリアにはFrischemarktとしてEDEKA系列の店舗がありました。REWEと雰囲気は近いですが、並んでいるものが若干違うのでこの2店舗のどちらを選ぶかは好みによると思われます。
冷凍食品と肉と炭水化物
なるべく安価に生きるためにはやはりスーパーで買ったものを使って生きる必要があります。そもそも私は日本から米をある程度持ち込んでいたので、それに合わせるものを用意するだけで良かったのです。
日本に居る時点で碌な食生活をしていない私にとって、外国でも栄養バランスなどあったものでは有りませんでした。とりあえず肉を買って持ち込んだ米と一緒に食べることが多くなりました。
普通に見たらひどい食事なのでしょうが、私はこれで満足できています。なにせ、肉がとにかくおいしいのですから。(BIFTEKIが特に印象深いです)
また、REWEで売られていた冷凍食品もいろいろ試していました。
冷凍食品はピザ・ポテト・ナゲット・Chicken wing(手羽?)を回しながら食べましたが、ドイツは電子レンジの普及率が微妙らしくオーブンでの調理方法しか書いていないものも多いです。
上記の冷凍食品は美味しくも不味くもなかったので、手軽に量が欲しいときに重宝しました。
また、ja!ブランドのパスタは安価なのでそれを利用するのも重宝すると思います。ふりかけをかけて食べるのもよかったですが、これも推奨された食事ではありませんね。しかし、当たり前ですが米の類は基本存在しません。
そんなときは、中華料理に頼るのです。
救いの飯、中華
日本でよく聞いていた話に「中華料理がどこでも救いになる」というものがあります。これは本当でした。
カールスルーエにあるローテゾンネという店は安価で大ボリュームの食事を提供してくれます。
回鍋肉、卵炒飯を食べましたが腹が十分膨れてしっかり美味しい。せいぜい10€前後なので外食にしてはずいぶんリーズナブルです。ラーメンは20€取られるので、困ったら合う中華料理屋を探すというのが私の海外飯の一つの指針となりました。
まあそもそもドイツの飯はそれなりに美味しいのでここで心配する必要はないかと思います。しかし、1か月もいると流石にソーセージの類にも飽きがきます。
biet! biet! biet!
ビールではありませんが、ドイツの国家2番にはドイツの酒(ワイン)を持ち上げる歌詞が出てくるレベルです。(なお、1番は歌ってはいけないらしい)
ドイツのビールは世界一ィィ!となれば酒好きでなくても試してみようと言うものです。
ですがここでも問題を起こします。
缶爆破
缶ビールをキンッキンに冷えたビールにしてやろうと思い、私はあろうことか缶ビールを冷蔵庫の冷凍エリアにぶち込んだのです。
私はそれを忘れて眠ってしまい、翌日の朝、冷蔵庫を開き朝飯にしようとパンの袋に手を伸ばすと、なんだか濡れています。
ビール缶が膨張し、中身が吹き出してシャーベットになっているではありませんか。
こんな場面、ドイツ人が見たら烈火の如く怒り狂うでしょう。飲食物を粗末にすることは日本人的にも許されない。
そもそもドイツビールは冷やしすぎないようにするのが普通なようです。キンキンに冷やすのは発想そのものから違ったのです。
冷蔵庫の汚れを完全に拭き取った後でも、ビールの匂いが残り、約2週間の間私の食事はビールのほのかな香りづけが加わったものになったのでした。
栓抜き
別の日、瓶ビールを買ったはいいものの栓抜きが見当たりません。宿のキッチンにも研究室にもない...調べてみるとスプーンやベルトで開ける方法があるらしいので最初はスプーンで10分くらいかけてこじ開けました。

流石に手が痛いので栓抜きを買いました。
何の変哲も無い栓抜きを買ったのですが、観光地に行くとお土産として栓抜きが売られていることに気づきました。買った時期は遠出する前だったので手に入れられなかったのはしょうがないですね…
Pokémon Card
ドイツ土産として何がいいか考えているうち、一つの考えが浮かびます。
外国語版ポケモンカードを買おう。と。
まずどこで売っているのかという問題ですが、カールスルーエでは2箇所見つけました。おもちゃ屋とMüllerです。
ポケモンカード1パックは5€弱で要するに日本の約4倍です。なんでそんなに高いの??

とりあえず4パック購入し、友人に会った際に開封の儀を行います。(もしかしたら記事に追記するかも)
なお、後々ロンドンでもポケモンカードを探しましたが、こちらはパック形式のカードを見つけられませんでした。(デッキ型は有りましたが流石に大きさと値段で手が出せませんでした)
観光地とロッカー
ドイツの博物館・美術館には大抵ロッカーが併設されています。鞄はここに預けるのが基本です。
預けないと止められらるのでしっかり預けましょう。服の中に仕込んであった最重要品カバンをそのままにしてカールスルーエ城に入場してしまい、服のふくらみから「すいません。それはなんですか?」と聞かれたことがあります。
「カバンです」と答えると、「入口で預けることになってます」と言われたので、「Sorry。すぐ入口に戻ります」と言ってそのまま順路を逆走して入口まで戻り、退場しました。
いけるかと思いましたがだめでした。逮捕されなかっただけ良いと考えましょう。アメリカじゃなくてよかったです。
騒がしくも新鮮なカールスルーエ探索
カールスルーエにはサッカースタジアムがあり、10月の滞在中に、2度試合があった模様です。
それは、宿まで大歓声が聞こえるからです。一度目は夜、二度目は昼の時間でした。
ゴールが決まった瞬間なんかは非常にわかりやすい声量で合唱・歓声が聞こえます。
二度目に声が聞こえ始めた日、私はその歓声を目指してカールスルーエを探索してみました。
カールスルーエのスタジアムは広い広い公園の一角にたたずんでおり、周辺の見た目はかなり森です。(ちゃんと道は整備されてます)

足元が草土で覆われたようなエリアもあるので、本当に森感が強いです。
歓声目指して歩き続けると、ちゃんとスタジアムへ到着できました。


スタジアムはきっちり騒がしく、酒瓶がバリバリに割れて散らかってます。チケットも売っていなかったため入場せずにぐるりと回るだけにして、カールスルーエ東側を回るようにして帰りました。
懐かしきドイツの地
もうあの地を離れて30日が経過してしまいました。
狭苦しく、せわしなく、余裕のない日々を送っていると、あの地に戻りたくもあります。
「日本のほうがいいでしょう?」というお話をよく聞きますが、正直なところどちらをとっても良いとは感じます。
治安・食事の面で見れば、日本は紛れもなく世界一でしょう。しかし、生きる上での労力においてはドイツに軍配が上がると考えています。
列車の比較
前提の環境として、この国(特に東京)はとにかくすべてのものが小さく、まとまっています。
この点は、EUを旅しなければ確実に得ることのなかった感覚です。日本の駅が「狭い」のです。
EUのいわゆるターミナル駅はドームのようになっていて、とにかく空間が開けています。横に並んだ線路の数も半端ではないです。
東京は江戸の時代から過密なので、関東に住むことの宿命です。超満員の列車が嫌なのであれば、徒歩圏内に住むのが絶対条件です。
かといって、ドイツの列車がすいていて快適かというと全然そんなことはなかったのです。
都市を結ぶ休日の二等車両はしっかり騒音まみれで、混む駅はしっかり日本並みの感覚で混んでいます。もちろん、座れないことも多々あります。
治安、騒音を考えると列車の不快さは正直どっこいどっこいだったのです。
労働環境の比較
最近、列車の広告で「ドイツ式仕事術」なるものが宣伝されています。
あれを読んでみてもいいのですが、読んだところで何一つ環境が変わるわけではないでしょう。
それは本国に根ざした環境・文化・同調圧力等々から来るものです。(政治の話もありますが、触れないでおきます)
対し、ドイツは日曜は列車やマクドナルドのような特殊環境以外で労働が基本停止する上「窓口」のような業務は15時で終わるのです。
ドイツは労働時間が短いのか!と思うかもしれませんが違います。「朝が早い」のです。
窓口は7:30頃に始まっています。つまり、日本でよく聞く9時5時の業務から換算すると2時間ずれただけの話です。
ですが。話はここで終わりません。彼らはしっかり「業務を停止」します。そこからいなくなります。この点が違います。
時間になったらきっちりやめる。通勤に1時間以上かけるなどあり得ない。プライベートな時間と仕事はきっちり分ける。そういった複合的な理由により、良くも悪くもドライさを感じるのです。
話がずれすぎるので深く言及しませんが、彼らと私たちでは考え方が宗教観(根底)から違うと思っています。なので「環境が変わらない」と感じるのです。
過激になる前に次に移りましょう。
食事の比較
今後の記事でも出てきますが、EUでの食事はとにかく「選択肢が少ない」のです。
冷凍食品・手軽な食事・レストラン・菓子の種類において、選択肢が異常に多いのが日本です。
冷凍食品は言わずもがな、イタリア風・中華風・日本風なんでもかんでもチン1つでできます。
冷凍チャーハンや冷凍餃子、冷凍ドリア...それに対してEU券は冷凍食品と言えば「ピザ」「芋」「鶏」一辺倒です。
手軽な食事も向こうでは「サンドイッチ」くらいしかありません。コンビニを見るとどうでしょう。「おにぎり」「弁当」、下手したら「ラーメン」なんかもあります。
日本にいると気づきにくいですが、日本はとにかく「海鮮」の選択肢が半端ではないのです。EUで見かけるスーパーの魚と言えば、「スモークサーモン」です。
回転寿司を見るとどうでしょう。50くらいは種類があります。Fish&Chipsですらせいぜい4~5種類でしょう。
「海の幸・山の幸」の言葉の通り、とにかく選択肢が多いのが日本食です。元から多いのに、外国由来の食事も山ほどある。しかも安価という異常空間です。
次に菓子です。EUの甘味と言えば「チョコ」だらけになります。「抹茶」も「小豆」もめったにお目にかかれません。
塩味のほうは芋かコーン系で完結です。煎餅、という米の選択肢が無くなるのは、やはりどうにも幅を狭めているようです。
と、わかり切ったことを述べましたが所感としては日本の飯は「美味しい」のはもちろんのこと、「選択肢が爆発的に増える」という事実のがこの問題の根幹にありそうです。
結局、どこへ行っても心の持ちようです。ただ、私は日本語をしゃべる日本人です。また、他国への心理的障壁がなくなったかと言うと、そんなことはありません。
私はやはり日本にいるのがよいのでしょう。
ドイツの話の締め
言いたいことをつらつらと綴ってきましたが、今回の旅で嫌でも見方は変わったと言えるでしょう。
また、他人やネットから仕入れた情報は嘘半分本当半分という印象です。
困っていたら大抵の人は助けてくれます。それは相手が何人だろうが関係なかったのです。
都内某列車で小田原に行きたがっている外国人を周囲が総出でアドバイスするという場面を見かけました。
私は宿について慌てふためき、動揺しているのが伝わったのか、「落ち着いて、ゆっくり話して。なんでも聞いてくれて構わない」と言われました。
ユーロスターでは婦人の荷物を代わりに下した紳士を見かけました。パリのバスではボタンに手の届かない婦人の代わりにボタンを押し、"Merci"と言われました。
フランクフルトではinfomationにさんざんチケットについて質問しました。秋葉原では大井町への行き方を聞かれ、「向こうのホームの青い列車だ」と言いました。
メディアや人を通すと、各国のそんな良いところは全く伝達されずに、悪いところばかりが目立ちます。
こういった「良い点」を感じれたこと。それが今回の旅の最も実のある経験だったのではないかと、クサいことを言いつつ、「EU周遊記 ドイツ編」締めさせていただきます。
次回はついにフランス観光名所巡りです。それではまた。